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2018年6月 1日 (金)

第383号 「会社が副業を許可したくない理由」

<今回の執筆者:天月珠美>
  プロフィール:
   http://www.stageup.co.jp/lps/mail_magazine.html#amatuki_tamami
 
 
 
こんにちは、天月珠美です(^^)
 
 
平成30年1月に厚生労働省が作成しているモデル就業規則の改正が行われました。
 
その中の一つに「副業・兼業に関する規定」の新設があります。
すごく簡単に言うと、政府の方針として、副業は「原則禁止」から「原則容認」になった、ということです。
 
これは、労働者にとっては朗報ともいえます。
なにせ、ダブルワークし放題(?)になるわけですから。
 
ところが、会社には、副業を認めたくない、すごーくすごーく大きな理由があります。
もちろん、これまでのように
 
「副業でカラダが疲れて本業がおろそかになる・危険になる」
「企業秘密が漏洩する可能性がある」
「企業の社会的信用を毀損する」
 
という理由で副業を禁止している会社が多いですが、
実は、もっと大きな理由は・・・
 
「労働時間の通算」と「割増賃金の支払い」
 
の話です。
 
 
労働時間の通算とは、
 
「別々の会社で給与労働をしていたら、その労働時間を合算します」
 
ということです。
 
アルバイトも「給与労働」ですから、たとえば
本業で8時間、コンビニで2時間バイト
ということであれば、10時間の労働となるわけです。
 
 
割増賃金の支払いとは、
 
「法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えたら、25%増の賃金を支払いなさい」
 
ということです。
 
で、その割増賃金を誰が払うのか、というと
 
「(会社が他の会社からも給料をもらっていることを知っていたら)法定労働時間を越える時間を労働させた会社が支払いなさいね」
 
という内容が、平成30年1月に出された厚労省の「兼業・副業ガイドライン」には書かれています。
 
 
では、なぜ会社が副業を認めたくないかと、こういうケースが考えられるのです。
 
==============
Aさんは、α社(サービス業)で正社員として働いています。
α社は10時~19時(昼1時間)で、所定労働時間は『8時間』です。
Aさんは、仕事的にほとんど残業がありません。
Aさんの家からα社はドアtoドアで20分ほどです。
 
仮に、α社が「副業許可制」だとしましょう。
最近α社の隣にコンビニがオープンしました。
Aさんは、少しでも家計の足しになるようにと、
朝8:30~9:30の『1時間』
を、そのコンビニでアルバイトすることにしました。
 
そうなると、
 
・Aさんは通算で「9時間労働」となり、
・法定労働時間を1時間超え、
・その1時間については「割増賃金」が支払われる
 
ということになります。
 
 
さて、
誰が1時間分の割増賃金を支払わなければならないのでしょう?
α社でしょうか、コンビにでしょうか?
 
 
正解は・・・
 
「α社」
 
です。
 
 
先に説明したように、
「法定労働時間を超えて働かせた」のは、この場合、α社になります。
なぜなら、Aさんの労働時間をもう一度整理すると
 
8:30~9:30→1時間@コンビニ
10:00~18:00→(昼の1時間を抜いて)7時間@α社
ここで、すでにAさんの法定労働時間はリミットの8時間となります。
そのあと
18:00~19:00(α社の終業時刻)→1時間@α社
 
となるので、18時以降については、その時間帯に働かせたα社が割増賃金を負担する、ということになるわけです。
 
α社にとって、これはたまったものではありません。
実際に自社の仕事で残業をしたのではなく、本来なら割増賃金を払う必要のない1時間について25%多く支払わなければならないので・・・
 
ちなみに、労働基準法での「1日」は深夜0時から始まります。
ですから、仮にAさんが、朝ではなく、23時~25時の2時間をコンビニでバイトしたとしても、同じようにα社が1時間分について割増賃金を払うことになります。
 
 
α社がこれを避けるためには、
副業に関する就業規定に次のような禁止事項を追加するという方法があります。
 
「深夜0時以降、当社での始業時間の前に、他事業所に勤務してはならない」
 
これは
 
「自社の始業前に他社で労働していたら、疲れて自社の業務に支障をきたすからNG」
 
という理由付けです。
 
しかしながら、このような禁止項目が裁判で認められるかどうかはわかりません。
 
Aさんのように、「会社の隣で朝1時間だけ」であれば、裁判所は
「そんなに疲れないんじゃないの~?」
と考える可能性は十分にあります。
 
だったら、「副業禁止」としておいたほうが安心、というわけです。
で、コンビニでのバイトは黙認しておく、ということです。
黙認というか、「知らないことにする」というのが正確ですね。
 
なぜ「黙認」とするかというと、
 
先ほどのガイドラインを思い出しください
 
「他の会社でも給料をもらっていることを知っているなら・・・」
 
という前提がつきます。
 
つまり、「知らなければ、労働時間の通算による割増賃金の支払いは不要」
(そもそも、通算される対象を知らないわけですから)
 
となると考えられるからです。
 
ま、それでも危ないですけどね
(; ̄― ̄A アセアセ・・・
 
 
ちなみに、このような事態が副業の推進を妨げることになる、という話も専門家の間でもでているようで、法律の改正も検討されてはいるようです。
 
 
いずれにしても、労働基準法は、「何十年も前」の「工場労働を基本」にした法律ですからね、今の世の中には適合しない部分がた~くさんあるんですよねぇ。
 
 
 
ではまた~ ヾ( ̄― ̄)ノ◇"~~
 
 
 
 
 

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