<今回の執筆者:天月珠美>
プロフィール:http://www.stageup.co.jp/lps/mail_magazine.html#amatuki_tamami
こんにちは、天月珠美です(^^)
歳を取ると「肉料理より魚料理がいい」という人が増えるみたいですが、僕の場合、まったくそうならず、完全に「肉料理派」です。
ですので、前からある「豆腐ハンバーグ」みたいな「肉もどき料理」には、まったく興味がありませんでした。
しかし、最近、地球の将来をいろいろと勉強していくなかで、
「肉の消費拡大による、食料問題、水問題、環境問題、経済問題の悪化」
ということがわかってきました。
例えば、いま、地球上では6億9千万人が飢餓状態にあります。
(unicef 2020年7月発表 )
統計のベースとなる2019年の総人口が約76臆7千万人ですから、全人類の8.9%に当たります。
長期的に見れば飢餓人口は減少傾向にありましたが、2014年から増加に転じました。
ある調査によると、カロリーベースで計算した場合、全世界の「穀物」の生産量は、全人口の必要カロリーを十分に賄える量だそうです。
http://lib.ruralnet.or.jp/nisio/?p=2979
ではなぜ飢餓が起きるのでしょう。大きな要因は次の通りです。
・フードロス(食べられる食料の廃棄)
・カロリー/プロテインロス(穀物が家畜飼育に用いられそもそものカロリーや蛋白質が減少する)
・サプライチェーン(生産国と消費国の流通システムや経済事情の違い)
・所得格差(食べ物を買えるかどうか)
どれも大問題で、そう簡単に変えることはできないのが残念で、特にフードロスやカロリーロスは、個人個人の意識でかなり改善できるはずなのに、あまり進んでいない気がします。
(例えば、SDG'Sのバッチを付けてる人が、平気で料理を残すとか・・・)
さて、肉料理の話に少し戻しましょう。
食肉というのは、牛ちゃんにしろ豚ちゃんにしろ鳥ちゃんにしろ、基本的には植物を食べて成長したのちに出来上がるものです。
(論文ではないのでザクっとした説明にとどめますが)特に牛ちゃんは、食用に適するサイズになるまでには膨大な穀物が必要となります。
それは、「穀物カロリーの無駄遣い」ともいえるわけです。
これも参考としてご紹介しますが、「飼料の畜産物への変換効率」の研究の一つの結果として、次のような数字があります。
【熱量変換効率】:鶏肉12%,豚肉10%,牛肉3%
【蛋白質変換効率】:鶏肉40%,豚肉10%,牛肉5%
(ちなみに、牛肉1Kgの生産には飼料穀物が11~12Kgが必要と言われています)
https://www.maff.go.jp/chushi/jikyu/pdf/shoku_part1.pdf p4
その牛肉の消費量が増えているということは、それに伴って穀物や飼料の生産量も高まっている(そして穀物のカロリーロスが進展している)ということになります。
カロリーだけの問題ではありません。
穀物や飼料となる植物を育てるためには、農地と水が必要になります。
つまり、
・農地化するための森林伐採の進展(気候安定化資源の減少)
・地下水の汲み上げ量の増加(地下水の枯渇)
が進むわけです。
これにより、気候変動や水不足が発生、悪化の一途をたどっていることは容易に想像できると思います。
非常に端的にまとめると、
「地球は、これ以上食肉生産を増やせない状態」
なのです。
そこで注目されるのが「代替肉」です。
代替肉には、大きく次の二つがあります。
・培養肉(家畜から採取した細胞を人工的に培養した肉)
・植物由来肉(植物を使って肉っぽく加工したもの)
培養肉は、生物学上の技術開発が必要のため難易度の高い課題が多くあり、まだ開発途上です。
これに対し、植物由来肉(プラントベースミート)は、ある意味で調理技術(加水加熱/配分/味付け/成型等)の延長なので、味や食感を再現できればよく、ここ数年、一般市場にも出回っています(消費者が普通に買えます)。
プラントベースミートは、いわゆる肉の形はしていないので、ステーキ用などには不向きですが、ハンバーグやミートボールなど、肉の形を必要としない料理には十分使えます。
先日、試しにバーガーキングで、プラントベースミートを使ったハンバーガーを食べてみました。
「言われなければ代替肉とはわからない(普通に旨い)」
というのが個人的な感想です。
プラントベースミート製造の主要企業の一つである、BeyodMeat社によると、植物性ハンバーガーは、牛肉のハンバーガーに比べて・・・
・水の使用量が99%少ない
・土地の使用は93%少ない
・エネルギーの使用量は46%少ない
・温室効果ガスは90%少ない
(牛のゲップはメタンガス=温室効果ガス)
とのことです。
<参考サイト>
https://plant-origin.org/chikuykankyo-3riyu/
https://ecohungry.com/beyond-burger-vs-beef-burger/
https://www.beyondmeat.com/whats-new/go-beyond-this-earth-day/
http://css.umich.edu/sites/default/files/publication/CSS18-10.pdf
プラントベースミートは、日本では健康面が大きくアピールされている傾向がありますが、
僕はそれよりも
「自然環境や経済格差の改善」
という面をもっと知ってもらうことが必要で、それこそがサスティナブル社会につながるのではないかと思います。
もちろん、プラントベースミートにも環境面や経済面での課題はありますが、
食肉の増産や低価格化を進めるよりも未来につながる話だと考えます。
みなさんも、ぜひ一度、プラントベースミートを試してみてください(^^)
ではまた~(* ̄▽ ̄)ノ~~♪